非常食というと、アルファ米、乾パン、保存パンなどの主食を優先しがちです。
しかし、ご飯やパンだけでは食事が炭水化物に偏りやすいため、魚・肉・大豆製品などのたんぱく質を含む食品も一緒に備えておきたいところです。
結論からいうと、長期保存を重視するなら魚や肉の缶詰、普段の食事と入れ替えながら備えるなら魚肉ソーセージ・蒸し大豆・常温保存豆腐が使いやすい候補です。
さらに、飲みやすいロングライフ牛乳や、持ち運びやすいプロテインバーを組み合わせると、食べ方を分散できます。
この記事では、非常食でたんぱく質を補える常温保存食品7種類を、1包装当たりのたんぱく質量、水・加熱の要否、保存期間で比較します。
この記事の結論
・長期保存と食べやすさの両方を重視するなら魚・肉の缶詰
・缶詰だけに偏らず、大豆・豆腐・牛乳なども組み合わせる
・災害直後に備え、水や加熱なしで食べられる食品を用意する
・栄養成分は100g当たりではなく、1缶・1袋・1本当たりで比べる
・塩分、アレルギー、開封後の保存方法も確認する
・短めの賞味期限の商品はローリングストックで管理する
非常食でたんぱく質を補うには?
農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、災害直後の食事は炭水化物に偏りやすいと説明されています。
ご飯、パン、麺などは重要なエネルギー源ですが、それだけで備蓄を完成させず、肉・魚・豆などの主菜も加えることが大切です。
なかでも農林水産省は、ツナ、サバ、イワシ、サンマ、コンビーフ、牛肉の大和煮、焼き鳥などの缶詰を、手軽にたんぱく質を取れる備蓄食品として紹介しています。
ただし、缶詰だけを大量にそろえる必要はありません。次のような食品を組み合わせると、味・食感・保存期間を分散できます。
- 魚の缶詰
- 肉の缶詰
- 蒸し大豆や大豆水煮
- 常温保存できる豆腐
- 魚肉ソーセージ
- ロングライフ牛乳
- プロテインバー
非常食のおかず全般については、非常食のおかずおすすめ|缶詰・レトルトなどを比較した記事も参考にしてください。
常温保存できるたんぱく質食品7種類を比較
代表的な市販商品を例に、1包装当たりの栄養成分を比較しました。
| 食品・商品例 | 内容量 | たんぱく質 | エネルギー | 食塩相当量 | 保存期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| オイル不使用 シーチキンLフレーク | 70g | 11.1g | 49kcal | 0.6g | 37か月 |
| ホテイのやきとり たれ味 | 90g | 14.6g | 174kcal | 1.1g | 製造日より36か月 |
| マルヤナギ おいしい蒸し豆 蒸し大豆 | 90g | 14.9g | 170kcal | 0.5g | 製造日を含め90日 |
| さとの雪 ずっとおいしい豆腐 | 200g | 11.8g | 132kcal | 0.04g | 製造日を含む157日 |
| ニッスイ おさかなのソーセージ | 70g | 6.3g | 123kcal | 1.3g | 製造日より150日 |
| 明治特選北海道牛乳 | 200ml | 7.0g | 139kcal | 0.20g | 常温保存可能期間90日 |
| 1本満足バー プロテインブラック | 39g | 16g | 174kcal | 0.49g | 商品表示を確認 |
※数値は2026年9月に各メーカー公式サイトで確認した情報です。保存期間は原則として未開封・メーカー指定の方法で保存した場合の製造時点からの期間であり、購入日からの期間ではありません。商品改定の可能性があるため、購入時は手元のパッケージを確認してください。
比較すると、同じ常温保存食品でも、たんぱく質量や保存期間にかなり違いがあります。
5年保存の専用非常食だけでそろえるのではなく、保存期間が数か月の商品を普段から食べて補充する方法も有効です。
非常食に向くたんぱく質食品7種類
1.魚の缶詰|長期保存しやすく水や加熱も不要
ツナ、サバ、イワシ、サンマなどの魚の缶詰は、たんぱく質を含み、開封すればそのまま食べられる商品が多い食品です。
オイル不使用シーチキンLフレーク70gの場合、液汁を含む1缶当たりのたんぱく質は11.1g、賞味期間は37か月です。
水煮、しょうゆ煮、みそ煮、油漬けなどを分散すると、同じ魚ばかりでも味の単調さを抑えられます。
魚の缶詰が向いている人
- 水や加熱なしで食べられる食品を備えたい
- 比較的長く保存できる食品を選びたい
- アルファ米やパックご飯に合わせる主菜が欲しい
缶切り不要のプルトップ式か、開封前に確認しておきましょう。液汁にも塩分や油分が含まれるため、栄養成分表示は「液汁を含む」「液汁を除く」のどちらかも確認してください。
2.肉の缶詰|食べ応えを加えやすい
焼き鳥、コンビーフ、牛肉の大和煮などの肉の缶詰も、非常食の主菜候補になります。
ホテイのやきとり・たれ味90gは、1缶当たりたんぱく質14.6g、174kcalです。製造日より36か月保存でき、加熱しなくても食べられます。
甘辛い味の商品は白飯と合わせやすい一方、商品によっては塩分や脂質が多くなります。魚の水煮缶、大豆、豆腐なども加え、濃い味の缶詰だけに偏らないようにしましょう。
3.蒸し大豆・大豆水煮|植物性食品を加えられる
蒸し大豆や大豆水煮は、肉や魚以外からたんぱく質を補いたい場合に使えます。
マルヤナギの「おいしい蒸し豆 蒸し大豆」は、1袋90g当たりたんぱく質14.9gです。水洗いせずそのまま食べられるため、断水時にも扱いやすい商品です。
ただし、賞味期間は製造日を含め90日と、長期保存用の缶詰ほど長くありません。日常のサラダ、スープ、カレーなどに使い、食べた分を補充するローリングストックに向いています。
非常食のローリングストック方法と1週間分の備蓄例もあわせてご覧ください。
4.常温保存できる豆腐|柔らかく食べやすい
一般的な豆腐は冷蔵保存ですが、無菌充填や特殊な容器によって、未開封なら常温保存できる商品もあります。
さとの雪食品の「ずっとおいしい豆腐」200gは、1パック当たりたんぱく質11.8g。賞味期間は製造日を含む157日間です。
柔らかいため、硬いバーや乾燥食品が食べにくい人にも選択肢になります。ただし、大豆アレルギーがある人は食べられません。
開封後は常温保存できないため、冷蔵設備が使えない状況では、家族で分けるか一度に食べ切れる容量を選びましょう。
5.魚肉ソーセージ|開けやすく持ち運びやすい
魚肉ソーセージは、缶切りや食器を使わず、そのまま食べられるのが利点です。
ニッスイの「おさかなのソーセージ」は、1本70g当たりたんぱく質6.3g、123kcal。常温保存でき、保存期限は製造日より150日間です。
長期保存用というよりも、普段食べながら補充する商品として活用しやすいでしょう。
ただし、商品によって原材料やアレルギー物質が異なります。魚だけでできているとは限らないため、表示を確認してください。
6.ロングライフ牛乳|飲料として補いやすい
ロングライフ牛乳は、超高温での滅菌や無菌充填などによって、未開封なら常温保存できる牛乳です。
明治特選北海道牛乳200mlは、1本当たりたんぱく質7.0g、139kcalです。飲み切りサイズなので、コップを使わず飲みやすい点もメリットです。
一方、開封後は一般的な牛乳と同じように冷蔵が必要です。また、乳成分のアレルギーがある人には向きません。
数年間保存する専用非常食ではないため、賞味期限を定期的に確認して入れ替えましょう。
7.プロテインバー|防災リュックに入れやすい
プロテインバーは、軽くてかさばりにくく、防災リュックへ入れやすい食品です。
例として、1本満足バー・プロテインブラックは、1本39g当たりたんぱく質16g、174kcalです。
ただし、プロテインバーだけでは水分の多い食事になりません。口の中が乾きやすい商品もあるため、飲料水とセットで備えてください。
商品によって賞味期限、硬さ、アレルギー物質が異なります。高温になる車内への長期放置も避け、パッケージに記載された保存方法を守りましょう。
水や加熱なしで食べられる食品を優先する
災害直後は、停電・断水・ガス停止が重なる可能性があります。
たんぱく質量が多くても、調理に大量の水や加熱が必要な食品だけでは、すぐに食べられないことがあります。
最初の1日分には、次のような調理不要の食品を入れておくと使いやすくなります。
- プルトップ式の魚・肉の缶詰
- 魚肉ソーセージ
- そのまま食べられる蒸し大豆
- 常温保存豆腐
- 飲み切りサイズのロングライフ牛乳
- プロテインバー
調理不要の商品は、水なしで食べられる非常食のおすすめでも紹介しています。
非常食のたんぱく質食品は何日分備える?
農林水産省は、家庭の食品備蓄について、最低3日分から1週間分を人数分用意することが望ましいと案内しています。
同省が紹介している大人1人・1週間分の備蓄例では、たんぱく質を確保する主菜として、次の商品が挙げられています。
- 牛丼の素やカレーなどのレトルト食品:9個
- パスタソース:3個
- 好みの缶詰:9缶
これは一例であり、すべての家庭に同じ数量が必要という意味ではありません。
まずは「アルファ米だけ」「パンだけ」で一食を終えないように、食べられる範囲で主菜を組み合わせることを考えましょう。
| 場面 | 組み合わせ例 |
|---|---|
| 断水直後 | 保存パン+魚肉ソーセージ+飲料水 |
| 水はあるが加熱できない | 水で戻したアルファ米+ツナ缶 |
| カセットコンロが使える | パックご飯+焼き鳥缶+即席スープ |
| 食欲が落ちている | 常温保存豆腐+ロングライフ牛乳など、食べやすいもの |
| 避難時の持ち出し | 保存用おにぎり+プロテインバー+飲料水 |
主食の選び方は、非常食のご飯おすすめ|アルファ米・リゾットなどを比較をご覧ください。
栄養成分表示を確認するときのポイント
1包装当たりの数字で比較する
栄養成分表示には、「100g当たり」「1缶当たり」「1袋当たり」など、異なる単位が使われています。
100g当たりのたんぱく質量が多くても、実際の内容量が40gなら、食べる量は表示値の半分以下です。
備蓄食品を比較するときは、実際に一度に食べる1缶・1袋・1本当たりへ換算してください。
エネルギーも一緒に確認する
たんぱく質量だけで非常食を選ぶと、必要なエネルギーを十分に確保できない場合があります。
例えば、オイル不使用のツナ缶はたんぱく質を補いやすい一方、1缶のエネルギーは49kcalです。アルファ米、パン、パックご飯などの主食と組み合わせてください。
塩分を比較する
缶詰や魚肉ソーセージには、1包装で食塩相当量が1gを超える商品もあります。
災害時は飲料水が限られる場合もあるため、濃い味の商品ばかりに偏らず、水煮・無塩・食塩不使用の商品も組み合わせましょう。
たんぱく質食品を備蓄するときの注意点
開封後に食べ切れる量を選ぶ
缶詰、牛乳、豆腐などは、未開封なら常温保存できても、開封後は冷蔵が必要になる商品があります。
停電中に冷蔵庫が使えない可能性を考え、一度に食べ切れる小容量の商品を選ぶと管理しやすくなります。
賞味期限は購入日からではない
メーカーが示す賞味期間は、基本的に製造日からの日数です。
「36か月保存」と書かれた商品を購入しても、手元に届いた時点で36か月残っているとは限りません。届いた商品に印字された日付を確認してください。
缶切りの有無を確認する
缶詰は、プルトップ式なら道具なしで開封できますが、商品によっては缶切りが必要です。
購入時にふたの形を確認し、必要なら缶切りも同じ場所に保管しましょう。
アレルギーと食事制限を確認する
魚肉ソーセージやプロテインバーは、商品名から想像しにくい小麦・乳成分・大豆などを含む場合があります。
食物アレルギーがある家庭では、パッケージの原材料表示を確認し、家族ごとに食べられる商品を分けて保管してください。
また、腎臓病などでたんぱく質、カリウム、塩分を制限している人は、一般的な高たんぱく食品を自己判断で増やさず、医師や管理栄養士の指示に合わせた備蓄を準備しましょう。
野菜や水も一緒に備える
たんぱく質食品を追加しても、それだけで食事の栄養バランスが完成するわけではありません。
飲料水、野菜ジュース、野菜の缶詰、乾燥野菜、果物なども組み合わせてください。
野菜類については、非常食で野菜不足を補う方法で詳しく紹介しています。
長期保存品とローリングストックを組み合わせよう
たんぱく質食品は、保存期間によって次の2段階に分けると管理しやすくなります。
| 備蓄方法 | 主な食品 | 管理方法 |
|---|---|---|
| 比較的長く保管する食品 | 魚・肉の缶詰、長期保存用レトルト | 半年に1回程度、期限と缶の状態を確認 |
| 日常的に入れ替える食品 | 魚肉ソーセージ、蒸し大豆、常温保存豆腐、ロングライフ牛乳、バー類 | 期限の近いものから食べ、同じ数を補充 |
保存期間の短い商品にも、普段から食べ慣れた味を備えられる利点があります。すべてを5年保存品で統一せず、管理できる範囲で組み合わせましょう。
非常食のたんぱく質に関するよくある質問
非常食は缶詰だけでも大丈夫ですか?
缶詰は便利なたんぱく質源ですが、缶詰だけでは主食、水分、野菜類などが不足します。
アルファ米やパンなどの主食、野菜ジュースや乾燥野菜、飲料水も組み合わせてください。魚・肉・豆など、缶詰の種類も分散すると味の単調さを抑えられます。
プロテインだけ備えればたんぱく質は足りますか?
プロテインやプロテインバーだけに頼るのはおすすめしません。
災害時の食事ではエネルギー、水分、ビタミン、ミネラル、食物繊維なども必要です。肉・魚・大豆製品などの食品を基本にし、プロテイン商品は補助として使うのが現実的です。
魚肉ソーセージは非常食になりますか?
常温保存でき、開封してそのまま食べられる商品なら、ローリングストック用の非常食になります。
ただし、5年保存などの専用非常食より保存期間は短いため、賞味期限を確認しながら定期的に食べて補充してください。
常温保存豆腐は普通の豆腐と同じですか?
すべての豆腐を常温で保管できるわけではありません。
「常温保存可能」と明記された商品だけが対象です。未開封時の保存条件や開封後の扱いは、必ずパッケージの表示に従ってください。
たんぱく質は1日何g必要ですか?
必要量は年齢、性別、活動量、健康状態などによって異なります。
一律に「全員が同じ量を取ればよい」とは判断できないため、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」を参考にしつつ、この記事では個別の必要量ではなく食品同士の比較として紹介しています。
まとめ|缶詰を中心に食べやすい食品を分散しよう
非常食でたんぱく質を補うなら、魚・肉の缶詰を中心に、保存期間や食べ方が異なる食品を組み合わせる方法があります。
- 魚の缶詰は比較的長期保存しやすく、そのまま食べやすい
- 肉の缶詰はご飯に合わせやすく、食べ応えを加えられる
- 蒸し大豆や常温保存豆腐は植物性食品を加えられる
- 魚肉ソーセージは道具なしで食べやすい
- ロングライフ牛乳は飲料として補いやすい
- プロテインバーは軽く、防災リュックに入れやすい
- 短めの賞味期限の商品はローリングストックで管理する
商品を比較するときは、100g当たりではなく、実際に食べる1缶・1袋・1本当たりのたんぱく質、エネルギー、塩分を確認してください。
また、災害直後に備えて、水や加熱なしで食べられる主菜を最低限用意し、主食・野菜類・飲料水も含めて備蓄全体を整えましょう。


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