停電したとき、長期保存用の非常食をすぐに開けるべきか、それとも冷蔵庫にある食品から食べるべきか迷うことがあります。
基本的な消費順は、冷蔵品、冷凍品、常温保存の日常食品、長期保存用の非常食です。
ただし、「傷みやすい食品は必ず先に食べ切る」という意味ではありません。適切な温度を保てなかった肉や魚、総菜などは、食べずに処分する必要があります。
この記事では、停電時に食品を食べる順番と、冷蔵庫・冷凍庫の中身を安全に使うための注意点を解説します。
この記事の結論
- 停電直後は冷蔵庫を開けず、庫内の冷気を保つ
- 食べる順番は冷蔵品、冷凍品、常温食品、長期保存食が基本
- 安全を確認できない冷蔵・冷凍食品は食べずに処分する
- 冷蔵庫が低温を保てる目安は、扉を開けなければ約4時間
- 冷凍庫の目安は約1~2日だが、気温や食品量などで変わる
停電時は冷蔵品・冷凍品・常温食品の順に食べる
停電が長期化した場合、食品を使う基本的な順番は次のとおりです。
| 順番 | 食品 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1 | 安全を確認できる冷蔵品 | 作り置き、総菜、牛乳、豆腐、ハムなど |
| 2 | 解凍が始まった冷凍品 | 冷凍肉、冷凍魚、冷凍総菜、冷凍ご飯など |
| 3 | 比較的日持ちする食品 | 未カットの野菜、果物、パンなど |
| 4 | 常温保存の日常食品 | 乾麺、乾物、缶詰、常温保存可能なレトルト食品など |
| 5 | 長期保存用の非常食 | アルファ米、保存缶、長期保存パンなど |
長期保存用の非常食を最後に残すことで、冷蔵庫の食品を無駄にしにくくなり、備蓄をより長く持たせられます。
ただし、冷蔵庫の食品が安全に食べられることが前提です。傷んでいる可能性がある食品を、もったいないという理由で食べてはいけません。
停電直後は冷蔵庫を開けない
突然停電すると、冷蔵庫の中身をすぐ確認したくなります。しかし、停電直後に最初に行いたいのは、冷蔵庫と冷凍庫の扉を閉めたままにすることです。
扉を開けるたびに冷気が外へ逃げ、庫内温度が上昇します。停電が短時間で復旧すれば、中の食品を移動したり食べたりせずに済む可能性があります。
まず停電情報を確認し、懐中電灯、携帯トイレ、飲料水などを準備します。何を食べるかは、扉を開ける前に家族で決めておきましょう。
停電直後に避けたい行動
- 食品を確認するために何度も扉を開ける
- 常温の食品や飲み物を冷蔵庫へ大量に入れる
- 冷蔵庫の前で扉を開けたまま献立を考える
- 停電からの経過時間が分からないまま食品を食べる
停電時に食品を食べる順番
最初は冷蔵庫の傷みやすい食品
停電が長引くと判断したら、まず冷蔵庫にある傷みやすい食品を確認します。
- 生肉・生魚
- 作り置きのおかず
- 開封済みの総菜
- 牛乳・生クリーム
- 豆腐
- カット済みの野菜や果物
- 要冷蔵のハムや加工食品
これらは安全な温度を保てている間に調理し、調理後すぐに食べ切ることが基本です。
一度加熱したからといって、その後も常温で長時間保存できるわけではありません。停電中は調理した食品を冷蔵保存できないため、食べ切れる量だけを作りましょう。
次に解凍が始まった冷凍食品
冷蔵品の次は、冷凍庫の食品を使います。ただし、冷凍庫は冷蔵庫より低温を保ちやすいため、停電直後に開ける必要はありません。
停電が長期化し、食品が解凍し始めた場合は、安全な状態を確認したうえで、肉、魚、総菜、冷凍ご飯などを調理します。
農林水産省は、完全に溶けた冷凍食品を再び凍らせることを避けるよう案内しています。停電復旧後も、解凍された食品を何でも再冷凍しないよう注意してください。
続いて野菜・果物・パンを使う
未カットの根菜、常温保存できる果物、パンなどは、傷みやすい冷蔵食品の次に利用します。
食品によって保存できる期間は異なりますが、比較的日持ちしやすい例には次のものがあります。
- じゃがいも
- たまねぎ
- にんじん
- さつまいも
- りんご
- みかん
ただし、カット済みの野菜や果物、傷が付いたもの、要冷蔵表示のあるものは別です。保存状態を確認し、早めに使用しましょう。
その後に常温保存の日常食品を使う
冷蔵庫や冷凍庫の食品を使い終えたら、常温保存できる日常食品へ移ります。
- 缶詰
- 常温保存可能なレトルト食品
- 乾麺
- 乾物
- シリアル
- 常温保存できる飲料
- 個包装のお菓子
日常食品には賞味期限が比較的短いものもあるため、長期保存用の非常食より先に使うと食品ロスを減らせます。
水や熱源を使えないときは、以下の記事で紹介している食品も役立ちます。
長期保存用の非常食は最後に残す
アルファ米、長期保存パン、保存缶などは、冷蔵設備がなくても保存できます。冷蔵庫の食品や賞味期限の短い日常食品を先に使い、長期保存食はその後に回すのが基本です。
ただし、避難のために自宅を離れる場合や、火や水を使えない場合は、順番にこだわる必要はありません。安全を最優先し、その場で食べられる非常食を利用してください。
停電した冷蔵庫・冷凍庫は何時間もつ?
農林水産省は、扉を開けない場合に低温を保持できる時間について、次の目安を案内しています。
| 設備 | 低温を保持できる時間の目安 |
|---|---|
| 冷蔵庫 | 約4時間 |
| 冷凍庫 | 約1~2日間 |
この時間は、安全に食べられることを保証する期限ではありません。次の条件によって庫内温度の上がり方が変わります。
- 室温や季節
- 冷蔵庫・冷凍庫の性能
- 停電前の庫内温度
- 食品が入っている量
- 扉を開けた回数と時間
- 保冷剤や凍らせた水の有無
特に夏場や高温の室内では、食品の温度が早く上昇する可能性があります。「4時間以内なら必ず安全」とは判断せず、食品の種類と保存状態を合わせて確認してください。
停電時に食べずに処分した方がよい食品
適切な温度を保てなかった肉・魚・総菜
停電が長時間続き、生肉、生魚、乳製品、作り置き、総菜などを適切な低温で保存できなかった場合は、食べずに処分します。
農林水産省も、低温を保てる目安時間を超えた傷みやすい肉・魚・総菜などは廃棄するよう案内しています。
完全に溶けた冷凍食品
完全に解凍され、適切な温度を保てなかった冷凍食品は、再冷凍を避けます。
一部に氷の結晶が残っている場合でも、経過時間や食品の温度が分からなければ、安全を優先して判断してください。
水害で浸水した食品
水害時は、停電だけでなく食品の浸水にも注意が必要です。
河川や下水から流れ込んだ水には、細菌、ウイルス、寄生虫、薬品、油などが含まれる可能性があります。
次の食品は使用しない方が安全です。
- 浸水した紙箱や袋入りの食品
- ふたや容器に破損がある食品
- 膨張、変形、さびが見られる缶詰
- 密封状態を確認できない食品
- 汚水が付着した開封済み食品
安全か判断できない食品
停電が始まった時間、食品の温度、保存状態が分からない場合は、無理に食べないことが重要です。
災害時は医療機関を受診しにくく、断水によって衛生環境も悪化する可能性があります。食品を捨てる損失より、食中毒を避けることを優先しましょう。
においや見た目だけで安全と判断しない
食品が傷んでいても、必ず異臭、変色、ぬめりなどが発生するとは限りません。においや味に異常がないことは、安全の証明になりません。
「少し食べて確認する」「加熱すれば大丈夫だろう」といった判断も避けます。
次のような判断は避けましょう
- 賞味期限内だから安全
- においが普通だから安全
- 少量なら食べても大丈夫
- 加熱すればすべての危険をなくせる
- 停電復旧後に再び冷えたから安全
賞味期限や消費期限は、表示された保存方法を守った場合の期限です。要冷蔵・要冷凍食品を適切な温度で保存できなければ、期限内でも安全とは限りません。
停電時の3日間の食品消費例
自宅の安全が確保され、食品も安全に利用できる場合の一例です。
| 時期 | 優先する食品 | 献立例 |
|---|---|---|
| 停電当日 | 安全な冷蔵品 | パン、調理済みのおかず、加熱した肉や魚 |
| 1~2日目 | 安全な冷凍品・日持ちする生鮮食品 | 冷凍ご飯、加熱した冷凍総菜、根菜、果物 |
| 3日目以降 | 常温食品・長期保存食 | 缶詰、レトルト食品、アルファ米、乾麺、乾物 |
これは固定された日程ではありません。夏と冬、停電時間、冷蔵設備の状態によって食品の安全性は変わります。
冷蔵食品に不安がある場合は初日でも廃棄し、常温保存食品や長期保存食へ切り替えてください。
冷蔵庫の冷気を長持ちさせる備え
保冷剤や凍らせた飲料水を用意する
日頃から冷凍庫に保冷剤を入れておくと、停電時に庫内温度の上昇を遅らせるために利用できます。
冷凍可能な容器に入れた飲料水を凍らせておけば、保冷剤として使った後、解凍して飲料水にできます。ただし、容器の注意表示を確認し、凍結可能な商品だけを使用してください。
冷凍庫は隙間を少なくする
冷凍庫は、凍った食品が互いに冷やし合うため、ある程度詰まっている方が低温を保ちやすくなります。
一方、冷蔵室は冷気が循環する空間も必要です。冷蔵庫と冷凍庫で収納の考え方が異なる点に注意しましょう。
庫内温度計を設置する
冷蔵庫・冷凍庫用の温度計を入れておくと、普段の温度管理に役立ちます。
ただし、停電中に何度も扉を開けて温度計を確認すると冷気が逃げます。停電後の経過時間も記録し、温度だけに頼らず判断しましょう。
常温で食べられる食品も用意する
冷蔵庫の食品を使えなくなった場合に備え、水や熱源を使わずに食べられる食品も必要です。
- プルトップ式の缶詰
- そのまま食べられるレトルト食品
- 個包装の保存パン
- 栄養補助食品
- フルーツ缶
- 保存水
停電時の食品に関するよくある質問
停電して4時間以内なら冷蔵品を食べられますか?
約4時間は、扉を開けない場合に冷蔵庫が低温を保持できる目安であり、すべての食品の安全を保証する時間ではありません。
室温、庫内の食品量、扉の開閉、食品の種類などによって変わります。傷みやすい食品は特に慎重に判断してください。
停電中に肉や魚を加熱すれば保存できますか?
加熱後すぐ食べ切るのであれば利用できる場合がありますが、加熱した食品を常温で長時間保存することはできません。
また、すでに適切な温度を保てなかった肉や魚を、加熱によって安全に戻せるとは限りません。
解凍された冷凍ご飯は食べられますか?
停電時間、解凍後の温度、保存状態によって判断が変わります。解凍が始まったばかりで安全を確認できる場合は早めに加熱して食べ、完全に解凍して長時間経過したものは処分を検討してください。
停電復旧後に冷蔵庫が再び冷えれば大丈夫ですか?
再び冷えたことによって、温度が上がっていた間の危険がなくなるわけではありません。停電時間や保存状態を確認し、安全性を判断できない食品は食べないようにします。
最初から非常食を食べてもいいですか?
避難が必要な場合、冷蔵品の安全性が分からない場合、調理や洗い物ができない場合は、最初から非常食を利用して問題ありません。
食品ロスを防ぐことより、命と健康を守ることを優先してください。
まとめ
停電時に食品を使う基本的な順番は、冷蔵品、冷凍品、比較的日持ちする食品、常温保存の日常食品、長期保存用の非常食です。
ただし、停電直後は冷蔵庫を開けず、まず庫内の冷気を保ちます。停電が長期化すると判断したら、安全を確認できる冷蔵品から計画的に使いましょう。
農林水産省が示す低温保持時間の目安は、扉を開けない場合、冷蔵庫で約4時間、冷凍庫で約1~2日です。しかし、これは食べられる期限を保証する数字ではありません。
適切な温度を保てなかった肉、魚、総菜、完全に解凍された冷凍食品、安全性を判断できない食品は、もったいなくても処分することが大切です。
日頃から保冷剤、凍らせた飲料水、庫内温度計、常温で食べられる食品を準備し、停電時に迷わず行動できるようにしておきましょう。


コメント