地震や大雪、道路の通行止めに備えて、車にも非常食を置いておきたいと考える方は多いでしょう。
ただし、自宅用の非常食をそのまま車内に置けばよいとは限りません。
夏の車内は非常に高温になり、冬には氷点下になる地域もあります。「常温保存可能」と書かれた食品でも、メーカーが想定する保存温度を超える環境では、品質を保てない可能性があります。
結論からいうと、車載用の非常食には、次の条件を満たす商品がおすすめです。
- メーカーが車載可能または高温・低温対応と案内している
- 火・水を使わず、そのまま食べられる
- 長期保存できる
- 個包装で少しずつ食べられる
- 保存水と一緒に備えられる
この記事では、車載用非常食の選び方、高温に対応した食品や保存水、車内に置きっぱなしにする際の注意点を解説します。
この記事の結論
- 一般的な「常温保存」と「車載可能」は同じではない
- 車内には耐温度域が明記された非常食を優先する
- 調理不要のクッキー、パン、ご飯、保存水を組み合わせる
- 直射日光の当たるダッシュボードには置かない
- 車検や季節の変わり目に期限とパッケージを点検する
車載用の非常食には高温対応の商品がおすすめ
車に非常食を常備するなら、単に賞味期限が長いだけでなく、車内の温度変化に対応できるかを確認しましょう。
JAFが外気温35℃の炎天下で行ったテストでは、対策をしていない黒い車の車内最高温度は57℃、ダッシュボード付近は79℃に達しました。
サンシェードを使用しても車内最高温度は50℃だったため、サンシェードだけで食品を高温から守れるとは限りません。
そのため、一般的な非常食よりも、メーカーや販売元が「車載用」「耐温度域-20℃~80℃」などと明記している商品を優先するのが安全です。
一般的な常温保存食品は車に置きっぱなしにできる?
「常温保存可能」と表示されていても、夏の車内に置きっぱなしにできるとは限りません。
常温には法律上の一律な温度が定められているわけではありませんが、一般的な食品では直射日光や高温多湿を避けた環境が想定されています。
一方、炎天下の車内は50℃を超えることがあり、通常の室内保管とは条件が大きく異なります。
次のような食品を車載する場合は、パッケージの保存方法だけでなく、メーカーの商品ページや問い合わせ窓口で車載可否を確認しましょう。
- 一般的な缶詰
- 市販の菓子や栄養補助食品
- 通常のレトルト食品
- チョコレートを使用した食品
- 保存温度の上限が分からない飲料
注意点
賞味期限が5年や7年でも、それだけで車載できるとは判断できません。賞味期限は、商品に表示された保存条件を守った場合の期限です。
車載用非常食を選ぶ5つのポイント
耐温度域が明記されている
もっとも確認したいのが耐温度域です。
車載向けの商品には「-20℃~80℃対応」など、通常の保存食より広い耐温度域が表示されていることがあります。
ただし、耐温度域内の商品でも、直射日光を避けるなど、メーカーが指定する保管方法を守る必要があります。
水やお湯を使わずに食べられる
車が立ち往生した状況では、お湯を沸かしたり、十分な水を調理に使ったりできるとは限りません。
開封してそのまま食べられる次のような食品が向いています。
- 長期保存クッキー
- 長期保存パン
- 調理不要のレトルトご飯
- レトルトのおかず
- ゼリー飲料
アルファ米も車載候補になりますが、調理用の水と待ち時間が必要です。車内には、調理不要の食品も必ず含めておきましょう。
片手でも食べやすい
車内は自宅や避難所より狭く、食器を広げにくい環境です。
袋から直接食べられるものや、個包装された食品なら、車内を汚しにくく、必要な分だけ開封できます。
高カロリーで保存しやすい
収納スペースが限られる車内では、コンパクトでエネルギーを補給しやすい食品が便利です。
クッキーやビスケットは比較的省スペースですが、口の中が乾きやすいため、必ず保存水と組み合わせてください。
食物アレルギーに配慮する
家族に食物アレルギーがある場合は、原材料とアレルゲン表示を確認します。
米粉を使った長期保存クッキーなども販売されていますが、「米粉使用」だけでアレルギー対応と判断せず、商品の最新表示を確認してください。
車載用におすすめしやすい非常食
車載用の非常食は、ひとつの商品だけで揃えるのではなく、食べ方の異なる食品を組み合わせるのがおすすめです。
| 種類 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 高温対応クッキー | 省スペースで調理不要 | 水分も一緒に必要 |
| 長期保存パン | 比較的食べやすく満足感がある | 車載対応温度を確認する |
| 調理不要のレトルトご飯 | 主食として食べやすい | 商品によって耐温度域が異なる |
| レトルトのおかず | 食事の単調さを抑えられる | 温めず食べられるか確認する |
| 長期保存水 | 飲用と服薬に使える | 食品と同様に車載適性を確認する |
高温対応の長期保存クッキー
車載用として選びやすいのが、耐温度域を明記した長期保存クッキーです。
グリーンケミーの長期保存食品には、7年保存や10年保存のクッキーがあり、車載用防災セットにも耐温度域-20℃~80℃の商品が採用されています。
クッキーは火や水を使わず食べられ、車内の限られたスペースにも収納しやすいのがメリットです。
ただし、水分が少ない食品なので、クッキーだけを大量に備えるのではなく、保存水やレトルト食品と組み合わせましょう。
アレルギーに配慮した米粉クッキー
小麦などを避けたい家族がいる場合は、長期保存できる米粉クッキーも候補になります。
グリーンケミーでは、長期保存できるアレルゲンフリーのライスクッキーが展開されています。
ただし、アレルギー情報や保存期間、耐温度域は製品改良によって変わる可能性があるため、購入時には現物の表示を優先してください。
そのまま食べられるレトルト食品
クッキーだけでは食事が単調になるため、そのまま食べられるレトルトご飯やおかずも加えると安心です。
車載向けとして販売される80℃対応の備蓄セットには、調理不要のレトルトご飯やおかずを含む商品があります。
購入時には次の点を確認してください。
- 温めなくても食べられるか
- 水を加える必要がないか
- 耐温度域が明記されているか
- スプーンが付属しているか
- 一食分のカロリーは十分か
車載用の保存水も高温対応を確認する
車に置く水も、単に賞味期限が長いだけで選ばないようにしましょう。
夏の車内ではペットボトルも高温にさらされます。メーカーや販売元が車載用途や広い耐温度域を案内している保存水を選ぶのが基本です。
車載用の備蓄セットには、耐温度域を考慮した7年保存水などが食品と一緒に入っているものがあります。
成人が必要とする水の量は、気候、体格、食事内容などで変わります。車の収納スペースとのバランスを考え、まずは乗車人数分を備えたうえで、定期的に補充しましょう。
保存水の使い道
- 水分補給
- 薬の服用
- 口の中が乾く食品を食べるとき
- アルファ米の調理
- 最低限の衛生用途
食品だけでなく車載防災セットにすると安心
道路の通行止めや雪による立ち往生では、食料と水以外の用品も必要になります。
車載用防災セットを用意する場合は、次の用品を組み合わせましょう。
- 高温・低温に対応した非常食
- 長期保存水
- 携帯トイレ
- アルミブランケット
- 軍手
- ウェットシート
- 懐中電灯
- モバイルバッテリー
- 笛
- 防寒具
- 使い捨てカイロ
車載用として販売されているセットなら、一つずつ選ぶ手間を減らせます。ただし、セット商品でも食品以外の用品は保管状態によって劣化するため、定期点検は必要です。
車載用非常食はどこに保管する?
高温対応の商品であっても、車内のどこに置いてもよいわけではありません。
ダッシュボードやフロントガラス付近は、直射日光によって特に高温になります。JAFのテストでは、ダッシュボードが70℃を超えた条件もありました。
車内に保管する場合は、次のような場所を検討してください。
- 直射日光が当たりにくいトランク
- 荷室の床下収納
- 固定できるクーラーボックスや収納ケース
- 後部座席の足元に固定した防災バッグ
事故時に飛び出すと危険なので、重い保存水や防災セットは動かないように固定しましょう。
なお、トランクも季節や車種によって高温になります。保管場所を工夫するだけでなく、商品自体の耐温度域を確認することが重要です。
車載用の非常食は何日分必要?
まずは、普段車に乗る人数が少なくとも1日過ごせる量を目安に揃えると始めやすいでしょう。
長距離移動が多い方、雪の多い地域に住んでいる方、乳幼児や高齢者と移動する方は、2~3日分も検討してください。
1人1日分の一例は次のとおりです。
| 品目 | 備蓄例 |
|---|---|
| 主食 | 調理不要のご飯やパンを2~3食 |
| 補助食品 | クッキーや米粉クッキーを1~2袋 |
| おかず | そのまま食べられるレトルト食品を1~2袋 |
| 水 | 乗車人数、季節、移動距離に応じて用意 |
これは一例です。持病、食物アレルギー、年齢、活動量に合わせて調整してください。
車載用非常食を置きっぱなしにするときの注意点
車検や季節の変わり目に点検する
非常食は、車検、タイヤ交換、夏前、冬前など、忘れにくい時期に点検するのがおすすめです。
賞味期限だけでなく、次の状態も確認しましょう。
- 袋が膨らんでいないか
- 穴や破れがないか
- 液漏れしていないか
- ペットボトルが変形していないか
- 文字や賞味期限が読めるか
- 虫や小動物による被害がないか
異常がある食品は、賞味期限内でも食べないでください。
賞味期限ギリギリまで放置しない
賞味期限は未開封で、指定された保存条件を守った場合の期限です。
車載可能な商品でも、車内では温度変化や振動が繰り返されます。期限に余裕があるうちに交換し、古い食品は状態を確認して家庭で消費する運用が安心です。
普通のお菓子との使い分けも考える
普段食べているお菓子を短期間だけ車に置き、こまめに交換する方法もあります。
ただし、チョコレートや油脂を多く含むお菓子は高温で品質が変わりやすいため、夏の長期保管には向きません。
長期間置きっぱなしにする食品は高温対応の保存食、短期間で交換できる食品はローリングストックというように分けると管理しやすくなります。
非常食になるお菓子については、こちらの記事も参考にしてください。
なお、ビスコ保存缶は家庭用備蓄には便利ですが、メーカーが車載可能と明記していることを確認できない場合は、夏の車内に長期間置きっぱなしにしないでください。
車載用非常食に関するよくある質問
車に普通の缶詰を置いても大丈夫ですか?
メーカーが車載可能または高温対応と案内していない缶詰を、夏の車内に長期間置くことはおすすめできません。保存条件を超える高温では、容器の変形や食品の品質低下につながる可能性があります。
5年保存の非常食なら車載できますか?
保存期間が5年あることと、車載できることは別です。耐温度域や車載可否を確認してください。
クーラーボックスに入れれば普通の非常食でも大丈夫ですか?
保冷剤を使わないクーラーボックスには、一時的に温度変化を緩やかにする効果は期待できますが、長期間にわたり一定温度を保てるわけではありません。クーラーボックスを使用する場合でも、高温対応食品を選ぶのが基本です。
車載用非常食は夏だけ交換すればよいですか?
冬の車内が氷点下になる地域もあるため、夏だけでなく冬前にも点検しましょう。食品だけでなく、保存水、モバイルバッテリー、ウェットシートなどの状態も確認してください。
車載用の非常食はどこで買えますか?
Amazon、楽天市場、防災用品専門店、ホームセンターなどで購入できます。「車載用」「80℃対応」「-20℃~80℃対応」などの表記を確認し、最新の商品仕様を比較してください。
まとめ|車載用非常食は保存期間より耐温度域を確認しよう
車載用の非常食を選ぶときは、賞味期限の長さだけでなく、夏と冬の温度変化に対応できるかを確認することが重要です。
- 一般的な常温保存食品を車載可能と判断しない
- 車載可能または広い耐温度域が明記された商品を選ぶ
- 調理不要の食品と保存水を組み合わせる
- ダッシュボードなど直射日光の当たる場所を避ける
- 車検や季節の変わり目に点検する
まずは高温対応クッキー、調理不要のレトルト食品、保存水、携帯トイレをまとめた小さなセットから準備するとよいでしょう。
商品仕様は変更されることがあります。購入時には、販売ページだけでなく、メーカーの商品表示と保存方法を必ず確認してください。


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