非常食として備えているレトルトカレーやレトルトのおかずは、停電などで温められなくても食べられるのでしょうか。
結論からいうと、加圧加熱殺菌された一般的なレトルト食品は、未開封でパッケージに異常がなく、商品表示で加熱が必須とされていなければ、温めずに食べられます。
ただし、「安全に食べられること」と「冷たいままでもおいしいこと」は別です。また、見た目が似ているパックご飯やチルド食品には、食べる前の加熱が必要な商品があります。
この記事では、レトルト食品をそのまま食べられる理由と、非常時に温めずに食べる際の注意点を解説します。
この記事の結論
- 一般的なレトルト食品は加圧加熱殺菌済みなので、基本的に温めなくても食べられる
- 商品に「要加熱」と書かれている場合は、表示どおりに加熱する
- 一般的なパックご飯は、レトルトカレーと違って加熱が必要な商品が多い
- 冷たいカレーやおかずは、油脂が固まって食べにくい場合がある
- 膨張・破損・液漏れなどがある商品は食べない
- 開封後は保存せず、できるだけ早く食べ切る
非常食は温めなくても食べられる?
非常食には、温めなくても食べられる商品と、水や加熱が必要な商品があります。
| 非常食の種類 | 温めずに食べられるか | 主な注意点 |
|---|---|---|
| レトルトカレー | 基本的に食べられる | 冷たいと油脂が固まる場合がある |
| レトルトのおかず | 基本的に食べられる | 商品表示を必ず確認する |
| レトルトのおかゆ | そのまま食べられる商品が多い | 食べ方と保存方法を確認する |
| 缶詰 | 基本的に食べられる | 缶の膨張や破損に注意する |
| 一般的なパックご飯 | 加熱が必要な商品が多い | レトルトのおかゆとは別に考える |
| アルファ米 | そのままでは食べられない | 水またはお湯と待ち時間が必要 |
| チルド食品 | 商品による | 要冷蔵・要加熱表示を確認する |
| 冷凍食品 | 商品による | 停電時の長期保管には向かない |
非常時にそのまま食べることを想定するなら、「レトルト食品だから大丈夫」と決めつけず、購入する商品の表示を確認しておきましょう。
水や加熱なしで食べられる食品は、以下の記事でも紹介しています。
水なしで食べられる非常食おすすめ|主食・おかず・お菓子を紹介
レトルト食品を温めずに食べられる理由
レトルト食品は、食品を気密性のある容器に入れて密封し、加圧加熱殺菌して作られています。
製造段階ですでに加熱調理と殺菌が行われているため、一般的なレトルト食品は食べる直前にもう一度加熱しなくても食べられます。
公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会も、缶詰・びん詰・レトルト食品は加熱殺菌工程によって殺菌と調理が行われており、温めずにそのまま食べられると説明しています。
つまり、パッケージに書かれた温め時間は、必ずしも食品を安全にするためだけのものではありません。商品本来の味や香り、食感を引き出す目的もあります。
注意点
すべての袋入り食品がレトルト食品とは限りません。見た目が似ていても、要冷蔵のチルド食品や加熱が必要な総菜があります。保存方法と調理方法の表示を確認してください。
レトルト食品は温めないと危険?
加圧加熱殺菌された完全調理済みのレトルト食品であれば、温めないこと自体が危険というわけではありません。
ただし、次の条件を満たしていることが前提です。
- 賞味期限内である
- 表示された方法で保管している
- 未開封である
- パウチに穴や破れがない
- パウチが不自然に膨らんでいない
- 液漏れしていない
- 「要加熱」などの表示がない
レトルト食品でも、保管状態や容器に問題があれば安全とはいえません。判断に迷う場合は、無理に食べないようにしましょう。
温めずに食べると味や食感はどうなる?
一般的なレトルト食品は冷たいままでも食べられますが、温めた場合と同じおいしさになるとは限りません。
特にカレー、シチュー、肉料理などは、冷たい状態では次のような変化を感じる場合があります。
- 油脂が白く固まる
- 口当たりが重くなる
- 香りが弱くなる
- とろみが強く感じられる
- 肉や具材が硬く感じられる
ハウス食品も、レトルト食品はそのまま食べられるものの、冷たい部分が残っていると油っぽく感じる場合があると案内しています。
災害時に食べやすい商品を選ぶなら、パッケージに「温めずにおいしい」「常温でもおいしい」「加熱不要」などと表示された商品が向いています。
パックご飯は温めずに食べられる?
一般的なパックご飯は、温めずに食べることを前提としていない商品が多いため注意が必要です。
パックご飯は製造から時間がたつと、ご飯のでんぷんが硬い状態に変化します。そのため、電子レンジや湯せんで加熱して、食べやすい状態に戻す必要があります。
日本生活協同組合連合会も、パックご飯はそのままではなく、加熱して食べるよう案内しています。
外見がレトルト食品に似ていても、レトルトカレーやおかゆと同じとは限りません。
| 商品 | 常温での保存 | 温めずに食べる |
|---|---|---|
| レトルトカレー | 可能な商品が多い | 基本的に可能 |
| レトルトおかゆ | 可能な商品が多い | 可能な商品が多い |
| 一般的なパックご飯 | 可能な商品が多い | 加熱が必要な商品が多い |
| アルファ米 | 可能 | 水またはお湯で戻す必要がある |
停電で電子レンジが使えない場合に備えるなら、パックご飯だけでなく、そのまま食べられるおかゆや、水で戻せるアルファ米も組み合わせると安心です。
レトルト食品とチルド食品の違い
袋入り食品のなかには、レトルト食品ではなくチルド食品に分類される商品もあります。
| 比較項目 | レトルト食品 | チルド食品 |
|---|---|---|
| 主な保存方法 | 常温保存 | 要冷蔵 |
| 開封前の保存期間 | 比較的長い | 比較的短い |
| 温めずに食べられるか | 基本的に可能 | 商品による |
| 停電時の備蓄 | 利用しやすい | 冷蔵状態を維持できないと難しい |
見分けるときは、パッケージの一括表示にある「保存方法」を確認します。
「直射日光を避け、常温で保存してください」と書かれている商品と、「10℃以下で保存してください」などと書かれている商品では、保管条件が異なります。
要冷蔵の商品を常温で長期間保存することはできません。
温めずに食べられる商品を見分ける方法
非常食用のレトルト食品を購入するときは、次の順番で表示を確認しましょう。
1.保存方法を確認する
「常温保存」と書かれている商品を選びます。要冷蔵・要冷凍の商品は、停電が長引いた場合の備蓄には向きません。
2.食べ方を確認する
「温めなくても食べられる」「そのままお召し上がりいただけます」と書かれている商品なら、加熱できない状況でも使いやすくなります。
反対に、「要加熱」「加熱してお召し上がりください」と書かれている場合は、表示に従って加熱してください。
3.賞味期限を確認する
レトルト食品は長期保存できるイメージがありますが、賞味期限は商品によって異なります。
数か月から1年程度の商品もあれば、災害備蓄用として3年・5年以上保存できる商品もあります。購入日ではなく、手元に届いた商品の賞味期限を確認しましょう。
4.開封に道具が必要ないか確認する
災害時はハサミが手元にない可能性があります。切り口があり、手で開けやすい商品が便利です。
5.容器から直接食べられるか確認する
自立するパウチやスプーン付きの商品なら、食器や洗い物を減らせます。ただし、袋の切り口で手や口を傷つけないよう注意してください。
レトルト食品をそのまま食べるときの注意点
パウチが膨らんでいる場合は食べない
パウチが不自然に膨らんでいる、穴が開いている、接着部分がはがれている、液漏れしているといった異常がある場合は食べないでください。
密封性が失われると、賞味期限内でも中身が変質している可能性があります。
高温になる場所へ置かない
常温保存できる商品でも、どこに置いてもよいわけではありません。
直射日光が当たる場所、湿気の多い場所、夏の車内、暖房器具の近くなどは避け、パッケージに表示された保存方法を守りましょう。
非常食に適した保管場所については、以下の記事でも解説しています。
開封後は早めに食べ切る
レトルト食品が常温で長期保存できるのは、加熱殺菌され、密封されているためです。
一度開封すると未開封時と同じようには保存できません。開封後はできるだけ早く食べ切りましょう。
災害時は冷蔵庫が使えない可能性もあります。食べ切れない量の商品より、1回で使い切れる商品や家族で分けられる商品が便利です。
においや見た目に異常があれば食べない
開封時に異臭がする、色がおかしい、内容物が噴き出すなどの異常がある場合は、味見をせず処分してください。
「加熱すれば大丈夫」と判断して食べるのも避けましょう。
アレルゲン表示を確認する
同じメーカーやシリーズでも、味によって使用されている原材料が異なる場合があります。
備蓄用に買い足すたびに、パッケージの原材料名とアレルゲン表示を確認してください。
レトルトパウチをそのまま電子レンジに入れてもよい?
「袋のまま電子レンジで加熱できる」と表示された商品以外は、そのまま電子レンジに入れないでください。
特に銀色のアルミを使用したパウチを電子レンジに入れると、火花や発火につながる危険があります。
電子レンジで温める場合は、次のいずれかの方法を取ります。
- 電子レンジ対応パウチは、商品表示どおりに加熱する
- 対応していないパウチは、中身を耐熱容器へ移す
- 湯せんする場合も、表示された時間と方法を守る
電子レンジ対応商品には、加熱すると蒸気口が開くタイプがあります。このタイプは加熱後に密封状態へ戻らないため、そのまま保存せず、速やかに食べ切りましょう。
非常食向けレトルト食品の選び方
災害用にレトルト食品を備える場合は、保存期間だけでなく、次の条件を確認しましょう。
- 常温保存できる
- 温めなくても食べられる
- 冷たい状態でも食べやすい
- 1回で食べ切れる量
- 手で開封できる
- 水分を比較的多く含む
- 家族が普段から食べ慣れている
- 賞味期限を管理しやすい
レトルトカレーだけでなく、おかゆ、煮魚、肉料理、豆のおかず、野菜スープなどを組み合わせると、味と栄養の偏りを抑えやすくなります。
備蓄しやすいおかずについては、以下の記事も参考にしてください。
温めなくても食べられる非常食の組み合わせ例
| 主食 | おかず | 追加する食品 |
|---|---|---|
| そのまま食べられるおかゆ | 魚や肉の缶詰 | 野菜ジュース |
| 保存パン | レトルトスープ | 果物の缶詰 |
| クラッカー | 豆やツナの缶詰 | ゼリー飲料 |
| 水で戻したアルファ米 | 加熱不要のレトルトカレー | 飲料水 |
発災直後は調理する余裕がない可能性があるため、少なくとも最初の1日分は、水や加熱なしで食べられる組み合わせにしておくと便利です。
カセットコンロも一緒に備える
レトルト食品は冷たいままでも食べられますが、温かい食事には気持ちを落ち着かせ、食欲を保ちやすくする利点があります。
電気やガスが止まった場合に備えて、カセットコンロ、カセットボンベ、鍋、加熱袋なども準備しておきましょう。
ただし、カセットコンロは使用場所や換気に注意し、メーカーの取扱説明書に従って使用してください。
非常食のすべてを温める必要はありません。発災直後は加熱不要食品を使い、生活が落ち着いてからカセットコンロを利用するなど、段階を分けて考えると燃料を節約できます。
普段から冷たい状態でも試食しておく
非常食としてレトルト食品を備える前に、一度は温めずに食べてみることをおすすめします。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 冷たいままでも味に抵抗がないか
- 油が固まって食べにくくならないか
- 具材が硬く感じないか
- 袋から直接食べやすいか
- 1袋の量が適切か
- 食後にどの程度水分が欲しくなるか
冷たい状態では食べにくい商品だった場合も、普段の食事で消費すれば無駄にはなりません。次に買い足すときは、加熱不要を明記した商品へ入れ替えられます。
非常食とレトルト食品についてよくある質問
レトルトカレーは温めずに食べてもお腹を壊しませんか?
加圧加熱殺菌された完全調理済みの商品で、未開封・賞味期限内・適切に保存され、パウチにも異常がなければ、基本的には温めずに食べられます。ただし、必ず個別の商品表示を確認してください。
冷たいレトルトカレーに白い塊があっても大丈夫ですか?
冷えることで油脂が白く固まっている可能性がありますが、見た目だけで安全性を断定することはできません。異臭、パウチの膨張、液漏れなどもある場合は食べないでください。判断できない場合はメーカーへ確認しましょう。
レトルトのおかゆは温めなくても食べられますか?
温めずに食べられる商品が多くあります。ただし、すべての商品が同じとは限らないため、パッケージの食べ方と保存方法を確認してください。
パックご飯を冷たいままカレーと一緒に食べられますか?
一般的なパックご飯は加熱して食べることを前提としており、冷たい状態では硬く、食べにくくなっています。非常時には、加熱不要のおかゆや水で戻せるアルファ米などを組み合わせるのがおすすめです。
一度湯せんしたレトルト食品は保存できますか?
未開封のアルミパウチは再加熱できる場合がありますが、商品の容器によって扱いが異なります。電子レンジ対応パウチは、加熱によって蒸気口が開き、密封性が失われる商品があります。メーカーの案内を確認し、加熱後は早めに食べ切るのが安全です。
賞味期限が切れたレトルト食品は食べられますか?
賞味期限は、おいしく食べられる期限を示すものです。ただし、非常時に期限切れ食品を食べる前提で備蓄するのはおすすめできません。定期的に期限を確認し、期限内に普段の食事で消費して買い足しましょう。
まとめ
加圧加熱殺菌された一般的なレトルト食品は、未開封で容器に異常がなく、商品表示で加熱が必須とされていなければ、温めずに食べられます。
ただし、安全に食べられることと、冷たいままでもおいしいことは別です。一般的なカレーや肉料理は、冷たいと油脂が固まり、口当たりが悪くなる場合があります。
また、パックご飯、チルド食品、冷凍食品などは、レトルト食品と同じように扱えません。袋の見た目だけで判断せず、保存方法と調理方法を確認してください。
非常食として備えるなら、「加熱不要」「温めずにおいしい」と明記された商品を選び、実際に冷たい状態でも試食しておくと安心です。
加熱不要の食品だけに偏らず、カセットコンロなども用意し、温められる場合と温められない場合の両方に備えておきましょう。


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